NSTはいつから受ける?検査の目的・流れと胎児モニターでわかることを解説
NST(ノンストレステスト)はいつから受けるのか、妊婦健診で「次回から胎児モニターをつけます」と言われて気になっている方もいるでしょう。NSTは、お腹にセンサーを装着して赤ちゃんの心拍数や子宮収縮を記録し、その時点での赤ちゃんの状態を評価する検査です。
NSTを始める時期はすべての妊婦さんで同じではなく、医療機関の方針や妊娠経過によって異なります。真田産婦人科では、妊娠36週以降の妊婦健診で胎児モニター検査を行っています。
この記事では、NSTをいつから受けるのかをはじめ、検査の目的や流れ、胎児心拍数やTocoの見方、検査結果について知っておきたいポイントを解説します。初めてNSTを受ける方も、どのような検査なのかを知るための参考にしてください。
NST(ノンストレステスト)とは?基本と妊婦健診で行う理由

NST(ノンストレステスト)は、お腹にセンサーを装着し、赤ちゃんの心拍数や胎動、子宮収縮の状態を一定時間記録する検査です。子宮収縮などの負荷を意図的にかけずに行うため、「ノンストレステスト」と呼ばれています。
NSTでは赤ちゃんの酸素量そのものを直接測定するわけではありません。胎動に伴う心拍数の変化など、いくつかの所見を組み合わせ、その時点で赤ちゃんの状態が良好と考えられるかを評価します。
NSTの目的と検査で分かること
NSTでは、主に胎児心拍数と子宮収縮を20〜40分程度記録します。医療スタッフは記録された波形から、次のような項目を確認します。
- 胎児心拍数の基線
- 基線細変動と呼ばれる心拍数の細かな変化
- 胎動などに伴う一過性頻脈
- 一過性徐脈などの心拍数低下
- 子宮収縮の有無やタイミング
こうした所見を総合して、その時点で赤ちゃんの状態が良好と考えられるかを評価します。一過性頻脈や適度な基線細変動などは良好な状態を示す所見の一つですが、一つの波形だけで「問題がある・ない」と判断するものではなく、妊娠週数や妊娠経過なども踏まえて医師や助産師が評価します。
妊婦健診でNSTを取り入れる理由
妊娠後期になると、出産が近づくにつれて赤ちゃんの状態を確認する機会も増えていきます。NSTは、超音波検査などとは異なる方法で、その時点での胎児の状態を評価できる検査の一つです。また、妊娠週数にかかわらず、妊娠経過によって胎児の状態を詳しく確認する必要がある場合に行われることもあります。
ただし、すべての妊婦さんに同じ週数・同じ頻度でNSTを行うわけではなく、実施時期や頻度は施設の方針や妊婦さん・赤ちゃんの状態によって異なります。真田産婦人科では、妊娠36週以降の妊婦健診で胎児モニター検査を行っています。
NSTと赤ちゃんの健康状態との関係
NSTでは、赤ちゃんが動いたときに心拍数が上昇するか、心拍数に適度な変動があるかなどを確認します。条件を満たす反応が確認できれば、その時点では赤ちゃんの状態が良好である可能性が高いと評価されます。
一方、十分な反応が得られなかったからといって、すぐに胎児の状態が悪いと判断するわけではありません。赤ちゃんが眠っている時間帯などには、一時的に心拍数の反応が乏しくなることもあるためです。必要に応じて検査時間を延長したり、超音波検査などを組み合わせたりして、胎児の状態を総合的に確認します。NSTだけですべての異常を見つけられるものではなく、妊婦健診で行うさまざまな検査の一つとして位置づけられています。
NST検査はいつから必要?推奨されるタイミングとケース

NSTをいつから行うかについて、すべての妊婦さんに共通する開始週数はありません。妊娠後期から定期的に行う施設もあれば、妊娠経過に応じて通常より早い時期から実施する場合もあります。
ここでは、NSTを始める時期の考え方や、妊娠36週より前から検査を行うことがあるケースについて解説します。
一般的にNSTを開始する妊娠週数
NSTの開始時期は医療機関によって異なります。妊娠後期に入ってから実施する施設が多くみられますが、「妊娠○週から必ず受ける」という全国共通の基準があるわけではありません。妊娠経過に問題がない場合と、母体や胎児の状態について慎重な観察が必要な場合でも、開始時期や頻度は変わります。
真田産婦人科では、妊娠36週以降の妊婦健診で胎児モニター検査を行っています。36週以降は妊婦健診も週1回となり、出産に向けて赤ちゃんや妊婦さんの状態を確認していきます。他院へ通院している場合は、その医療機関の健診スケジュールを確認してください。
医師がNSTを勧めるケースとその背景
妊娠経過によって胎児の状態をより詳しく確認する必要がある場合には、通常の健診スケジュールより早い時期からNSTなどの胎児機能評価を行うことがあります。たとえば、次のような状況です。
- 妊娠高血圧症候群など、妊娠中の合併症がある
- 胎児発育不全が疑われる
- 羊水量の異常などを指摘されている
- 胎動が普段より少ないと感じる
- 予定日を過ぎて経過をみている
- そのほか、胎児の状態を詳しく確認する必要があると医師が判断した
どのような場合に、何週から、どの程度の頻度でNSTを行うかは一律ではありません。個々の妊娠経過に応じて判断されるため、検査を勧められた場合は目的や今後の予定について担当医に確認しましょう。
ノンストレステストをしなかった場合のリスク
NSTはすべての妊婦さんに同じ時期・頻度で必要となる検査ではないため、「NSTを受けなければ赤ちゃんに危険が及ぶ」と一律に考える必要はありません。
一方、妊娠経過などから医師がNSTによる確認が必要と判断した場合には、指示された時期に検査を受けることが大切です。予定された検査を受けられない場合は、自己判断で中止せず、かかりつけの産院へ相談してください。
また、NSTの予定日とは関係なく、普段と比べて胎動が明らかに少ない、胎動を感じない、出血や破水が疑われるなど、いつもと違う変化がある場合には、次回の健診まで待たずかかりつけの産院へ連絡しましょう。
NST検査の流れと当日の準備
NSTは、お腹にセンサーを装着して一定時間横になり、胎児心拍数や子宮収縮を記録する検査です。基本的に特別な処置を伴う検査ではありませんが、20〜40分程度かかることがあるため、あらかじめ流れを知っておくと受検時のイメージがつかみやすくなります。
ここでは、一般的な検査の流れや服装、検査中に気をつけたいことを紹介します。
検査の具体的な流れ
NSTでは、妊婦さんがベッドやリクライニングチェアなどで楽な姿勢を取り、お腹に主に2つのセンサーを装着します。一つは赤ちゃんの心拍数を記録するセンサー、もう一つは子宮収縮を記録するセンサーです。一般的な流れは次のとおりです。
- ベッドやリクライニングチェアなどで楽な姿勢を取る
- お腹に胎児心拍数と子宮収縮を記録するセンサーを装着する
- 20〜40分程度、胎児心拍数や子宮収縮を記録する
- 施設によっては胎動を感じたときにボタンを押す
- 必要な記録が得られたらセンサーを外す
- 医師や助産師が結果を確認する
赤ちゃんが眠っているなどの理由で十分な反応が確認できない場合には、検査時間を延長したり、音や振動による刺激を用いて赤ちゃんの反応を確認したりすることがあります。
必要な持ち物と服装のポイント
NSTのためだけに特別な持ち物が必要かどうかは施設によって異なります。基本的には通常の妊婦健診と同様に、医療機関から案内されているものを持参してください。
- 母子健康手帳
- 診察券
- マイナ保険証または資格確認書など、医療機関から案内されたもの
- そのほか産院から指定された書類など
検査ではお腹にセンサーを装着するため、上下が分かれた服など、お腹を出しやすい服装だとスムーズです。ワンピースなどでも検査できないわけではありませんが、お腹を出しやすい服装の方が体勢を整えやすいでしょう。持ち物や服装について個別の案内がある場合は、通院している産院の指示を優先してください。
検査前後に気をつけること
NST前に特別な食事制限などがあるとは限りません。医療機関から指示がなければ基本的には普段どおり過ごし、個別に案内されている場合はその内容に従ってください。検査には20〜40分程度かかることがあるため、事前にトイレを済ませておくと過ごしやすいでしょう。
なお、妊娠後期に仰向けの姿勢を続けると、大きくなった子宮によって血管が圧迫され、血圧が低下して気分が悪くなることがあります。検査中に体調の変化を感じた場合の対処については、後半の「検査中に気分が悪くなった時の対処法」で詳しく解説します。
NSTのグラフや数値の見方|モニターでわかる赤ちゃんの状態

NSTでは胎児心拍数や子宮収縮が波形として表示されます。ただし、グラフに表示された一つの数値だけを見て、妊婦さん自身が赤ちゃんの状態を判断できるものではありません。医療スタッフは複数の所見を組み合わせて評価します。ここでは、医療スタッフがどのような点を確認しているのかを知るための基本的な見方を解説します。
まずは、モニターで確認する主な用語を整理します。
| 用語 | 意味 | 主に見るポイント |
| 基線 | 胎児心拍数のおおよそのベースとなる数値 | 一般的に110〜160bpmが正常範囲の一つとされる |
| 基線細変動 | 心拍数の細かなゆらぎ | 適度な変動があるか |
| 一過性頻脈 | 胎動などに伴い一時的に心拍数が上がる反応 | 良好な状態を示す所見の一つ |
| 一過性徐脈 | 一時的に心拍数が下がる波形 | 程度・持続・反復・子宮収縮との関係などをみる |
| Toco(子宮収縮) | お腹の張り(子宮収縮)を記録したもの | 収縮のタイミングや頻度(強さの絶対値ではない) |
NSTグラフ(心拍・お腹の張り)の基本的な確認ポイント
NSTのモニターでは、一般的に胎児心拍数と子宮収縮の波形が記録されます。胎児心拍数の基線は、一般的に110〜160bpmが正常範囲の一つとされていますが、基線だけで胎児の状態を判断するわけではありません。
胎動に伴って一時的に心拍数が上昇する反応は、胎児の状態が良好であることを示す所見の一つです。一方で、十分な反応が得られない場合でも、赤ちゃんが眠っているなど一時的な理由によることがあります。医療スタッフは、基線・基線細変動・心拍数の上昇や低下・子宮収縮との関係などを総合して確認するため、モニターに表示された数値や波形だけで自己判断せず、検査後の説明を確認しましょう。
NSTの「Toco」とは?お腹の張り数値の意味
NSTのモニターに表示される「Toco」は、腹部に装着したセンサーによって子宮収縮を記録したものです。お腹が張ると波形が盛り上がり、どのタイミングで子宮収縮が起きているかを確認できます。
ただし、外側から装着するTocoの数値は、子宮収縮の強さを絶対値として正確に表しているわけではありません。センサーの位置やベルトの装着状態、体の動きなどによっても表示は変化します。そのため、「○以上なら陣痛」「○以下なら問題ない」「数値が高いほど必ず強い収縮」といった一律の基準で判断することはできません。Tocoは主に、子宮収縮が起こるタイミングや頻度、持続時間などを確認するために用いられます。
赤ちゃんが苦しいサインと異常値の特徴
NSTでは、心拍数が基準範囲から外れている、基線細変動が乏しい、心拍数の低下が繰り返されるなど、注意して評価する必要がある波形が見られることがあります。ただし、こうした所見が一つあっただけで「赤ちゃんが苦しい」「胎児機能不全である」と決まるわけではありません。
たとえば心拍数が下がる波形についても、どの程度低下しているか、どのくらい続いているか、繰り返しているか、子宮収縮とどのような関係があるか、基線細変動が保たれているかなどによって意味が異なります。NSTの判読には専門的な知識が必要なため、グラフを見て気になる波形があっても自分で「異常」と判断せず、医療スタッフからの説明を聞いてください。
グラフで異常が出た場合の対応方法
NSTで十分な反応が得られなかった場合や、注意して確認する必要がある波形が見られた場合でも、すぐに重大な問題があると判断するわけではありません。赤ちゃんが眠っている場合には検査時間を延長したり、必要に応じて音や振動による刺激を加えたりして、再度反応を確認することがあります。
さらに詳しい評価が必要な場合には、次のような対応が検討されます。
- NSTを継続・再検査する
- 超音波検査を行う
- 胎児や羊水量などを詳しく確認する
- 母体の状態を確認する
そのうえで胎児の状態や妊娠週数、母体の状態などを総合的に判断し、必要に応じて入院管理や分娩時期・分娩方法を検討します。NSTだけを理由に直ちに帝王切開などが決まるわけではありません。
NST検査に関するよくある質問
NSTでダウン症などの染色体疾患はわかりますか?
NSTでは、ダウン症候群などの染色体疾患の有無を調べることはできません。NSTは胎児心拍数や子宮収縮を記録し、その時点での赤ちゃんの状態を評価する検査です。染色体疾患がある可能性を調べる検査にはNIPTなど、診断を確定する検査には羊水検査などがあり、NSTとは目的が異なります。NSTで気になる波形が見られても、それが染色体疾患を意味するわけではありません。
検査中に気分が悪くなったらどうすればよいですか?
妊娠後期に仰向けの状態を続けると、大きくなった子宮が血管を圧迫して血圧が低下し、めまいや吐き気、息苦しさ、冷や汗、動悸などが現れることがあります。次のような症状を感じた場合は、我慢せずすぐに医療スタッフへ伝えてください。
- めまい
- 吐き気
- 息苦しさ
- 冷や汗
- 動悸
- そのほか姿勢を保つのがつらいと感じたとき
上半身を起こしたり、左側を下にして横向きになったりと、状態に合わせて姿勢を調整します。「検査中だから動いてはいけない」と無理に姿勢を保つ必要はありません。
NSTを受けるときに気をつけることはありますか?
大切なのは、モニターの数値を自分で判断しようとせず、医師や助産師の説明を確認することです。また、検査中は同じ姿勢で過ごす時間があるため、姿勢がつらい、トイレに行きたい、気分が悪いといったことがあれば遠慮せずスタッフへ伝えてください。検査当日は基本的に通常の妊婦健診と同じように過ごせますが、食事や来院時間などについて個別の指示がある場合は、その案内に従いましょう。
NSTで良好な結果でも安心してよいですか?
NSTで良好な結果が得られていても、その後の妊娠経過についてすべて問題がないことを保証する検査ではありません。胎動が普段より明らかに少ない、出血がある、破水が疑われるなど気になる変化があれば、NSTの結果にかかわらず、かかりつけの産院へ相談してください。
まとめ | NSTは施設や妊娠経過に応じて受ける検査
NSTは胎児心拍数や子宮収縮を一定時間記録し、その時点での赤ちゃんの状態を評価する検査です。実施を始める妊娠週数や頻度は施設の方針や妊娠経過によって異なるため、「すべての妊婦さんが妊娠○週から受ける」と一律には決められていません。
モニターでは胎児心拍数の基線や細かな変動、胎動に伴う心拍数の上昇、心拍数低下の有無などを総合して評価します。Tocoについても、表示された数値だけでお腹の張りの強さや陣痛の有無を判断することはできないため、検査結果は医師や助産師からの説明を確認しましょう。
当院では、妊娠36週以降の妊婦健診で胎児モニター検査を行っています。妊娠経過によっては、それより前の時期に赤ちゃんの状態を詳しく確認することもあります。NSTの時期や検査内容について気になることがある方は、妊婦健診の際にお気軽にご相談ください。
NSTを含め、妊娠後期には出産に向けてお母さんと赤ちゃんの状態を確認するための健診や検査が行われます。真田産婦人科での妊娠週数ごとの妊婦健診や検査内容については、産科ページで詳しくご案内しています。